跡継ぎ という言葉だけが、腐らずに残る

人生相談 相続
【相談者】72歳女性 弟65歳 妹71歳 妹68歳 妹64歳

23年前父が他界、相続の手続きについては弟がやることになっていた。
母親はもっと前に他界、弟は相続税を2480万払ったという。
ということは、億の財産があったはずである。
弟は私と妹たちに50万円づつ持って歩いて、ハンコを押して欲しいと言う。
遺産は現金の他、土地などの不動産、有価証券類。
弟は父の遺産をほぼ手中にして、好き放題使っているように見えるが、
私達にはメクラ判を押させようとして、
「文句があるならカネはやらん」などと言う。
たいした働きなどないくせに、大きな家を建てて親戚中の話題になるほどだ。
下の妹たちも、弁護士を立てて話をしないといけないと言っているが、
弟は「裁判をやるなら、やってみい」と開き直っている。
どんな手続きでどうすれば、親の遺産を平等に分けられるだろう?

弁護士 坂井眞先生の言葉

まず時効については、遺産分割協議が終わっていないなら、
23年経った今でも協議続行は可能です。
そもそも、長男の弟さんが跡取りなので、基本的には全てを相続する。
残りの女兄弟3人は、幾らかの現金を渡すことで基本合意し、
ハンコを弟さんに預けたと、そのように聞こえる。
ならば、その時弟さんは不動産などを中心に名義変更して借家とし、
収入を得ることが出来ているのはそのためで、勝手にやったことにはならない。
あとから、金融資産に関する追加の話が出たのなら、
協議が終わっていないのはその部分に関してだ、ということは言えそうだ。
いずれにせよ、困難な問題が山積していそうだ。
専門の弁護士に依頼して、今どうなっているのか?
何が出来て、何が出来ないのかを、法律的に整理する必要がありそうだ。

時代の狭間で揺れる、信用の振り子

筆者が思うに
こういう人を説得するのも弁護士の仕事。
とは言え、大変な職務である。
ポイントは、ハンコを丸投げした姉妹3人が、不平不満を言っているということ。
それなら初めからきちんと平等になるように、
弁護士なり、司法書士なりを立てて話を進めれば良かったではないか、という話だ。
しかし何故このように揉めるのか?
戦前生まれの相談者とその父親、戦後間もなく生まれた兄弟姉妹。
この関係が非常に難しい。
終戦を境に日本は憲法だけでなく、民法も新しくなっている。
その代表格が、家督相続制度の廃止であろう。
旧民法では、戸籍上の長男が優先して相続するよう定められていた。
それが「跡取り息子」の意味であるが、新民法の下では既に形骸化している。
この相談者も、時代の狭間で生きて来た人で、そこが難しさの原点だ。
映画「犬神家の一族」では、被相続人の死亡年月が曖昧にされているらしい。
昭和22年5月を境に、法的取り扱いが一変したせいであるという。


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