神に光を召し上げられた男の めくら滅法

人生相談 人生の諸問題
【相談者】66歳男性 妻63歳 長女39歳 次女36歳 長男30歳(独身)
       長女次女は結婚済 89歳母と共に4人暮らし

1年前に目の手術をしたが、視力を失ってしまった。
それ以来家族が素っ気なくなってしまった。
医師からは、「飲酒などは原因でない」と言われているが、
妻たちに言わせると、若い頃から暴飲暴食で、
そうした不摂生のせいでこうなった。
定年後はやっと家族のために動いてくれると思っていた矢先に、
こんなことになって、「もう大人しく自室に籠っていろ」と、
こんな感じの生活のなってしまった。
眼が見えない苦しさに加えて、話し相手も居ない。
家族にさえ見放され、「こんな人と結婚しなければ良かった」と、
あからさまに詰られ、もう生きていても仕方がない。
さりとて自殺する勇気も無く、どうしたら良いだろう?

エッセイスト マドモアゼル・愛先生の言葉

眼が見えなくなる以前には、随分と家事などをやっていたが、
家族はそういうことを求めていたのではなく、
人間としての心の通う、コミュニケーションが欲しかったのではないか?
自己中心と云うけど、自分さえ見ておらず、
飲酒によって、自分の世界に閉じこもっていた。
視神経が侵されたのは偶然だが、他人の気配や動く時の音などで、
視力に頼らないコミュニケーションの形を模索出来るのではないか?
しかしあなたは良く喋る、喋り過ぎです。
もう少し他人の話を黙って聞けないものか?
喋り過ぎるということは、自己表明に意識が集中しているということだ。
今視力を失ったあなたに必要なのは、聞く耳を研ぎ澄ませることだ。
そこから新たに、見えなかったものが見えて来るのではないか。
それから、あなたと同じ境遇にある人が世間に沢山居る筈だ。
そういう人たちとの交流を通じて、心を開く訓練としては如何か?

パーソナリティ 勝野洋さんの言葉

先生が仰ったように、沈黙が大事です。
あなたは良く喋るが、それがいけない。
沈黙して下さい。
もう死にたいなどと考えずに、だから沈黙して下さい!
死にたいなどと考える暇があったら、子供さんの事とか、
考えることが他にありますよね。
そういうことで、前向きに沈黙して下さい。

「雀のお宿」で耳を鍛えろ

筆者が思うに
「もう死にたい」くらい悩んでいるはずのこの男性。
それにしては、誰がパーソナリティーなのか判らないほど饒舌だ。
一般的に饒舌な人間は、寡黙な人間ほど信用されない。
相談を持ち掛けている側の立場を忘れ、相手に話す間を与えない。
奥さんや子供さんが、「もううんざり」しているのはこの点だ。
流石にマドモアゼル先生も、いつものゆったりとした口調ではなく、
精一杯声を張り上げての説得だった。
視神経が侵されたのは、医師が云うように「不摂生」などではない。
神様がこの男から「視力」をはく奪なさったのであろう。
「聞く耳を持ちなさい」という警告だ。
もう「家族の為」などとウソぶいて、家事などやらなくて良い。
「障子の張替え」などしなくて良いから、
その舌で勝手に「糊」を舐めるでない、というお達しだ。
もしこの警告が守られなければ、
次はハサミを手にした老婆が現れるであろう。


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