二十年後、三十年後を見据えて、今この子と共に

人生相談 子育て 教育
【相談者】39歳男性 妻享年37歳(自殺) 子供1歳10か月

妻は結婚前からノイローゼ気味で、籍を入れて1年経たずに離婚。
子供が出来てからは、鬱病と診断されていた。
妻は実家で両親と共に子育てをしていたが、辛くなったのか、
「子供を引き取って欲しい、その後自分は死ぬ」と云って来た。
自殺と引き換えでは、子供を引き取るわけにも行かず、
自殺は思い留まるよう、自分なりの説得を続けて来たが、
とうとう自殺してしまった。
妻の葬儀の際に、先方の両親と親権について相談したところ、
「離婚して子供を連れて帰って来た時点から、
孫はこの家で育てると決心していた、だから引き渡すつもりは無い。」
と、このように言われた。
子供はまだ幼いので、父母の区別もつかない内の出来事だった。
今でも、私のことを「どこかのおじさん」程度にしか認識していない。
これから子供のために、親権の扱いをどうしたら良いだろう。

弁護士 高中正彦先生の言葉

親権者である奥さんが亡くなったら、「自動的に親権はあなた」、ではない。
この場合は後見開始事由にあたるため、法的には裁判所が後見人を決める。
家庭裁判所では、全ての事情を考慮して最も適切な人を後見人とする。
但し過去の裁判例では、後見人が決まった後に親権が復活した例がある。
「親権者変更調停」と云うが、これも家庭裁判所で行う。
というのが法律の話だが、要するにこの1歳10か月の子供は誰が育てるの?
「親権者」というのは、血を分けた親しかなれないんだよ。
片方の親権者が亡くなったら、もうひとりは一体誰なの?
どんな事情があろうとも、あなたにとって血を分けたたった一人の子供じゃないの?
一体何考えてんの、あんた。
今井先生が確認してたけど、70歳の祖父ちゃん祖母ちゃんが育てるの?
子供が20歳になる頃、90歳だよ・・・。
今はまだ仲良く遊んでるけど、中学生、高校生の多感な年頃になったらどうなるの?
祖父母に育てられた方が幸せかも知れないと、悩んでいるあなたを見ると
この子は一体何のために生まれて来たの? と言いたい。
裁判所であなた、同じこと言ったら、裁判官口開けちゃうよ。
家裁の裁判官は同様の事案を多数経験していて、眼力が肥えているから、
こんなことだと本当にアカの他人が後見人になっちゃうよ。
しっかりしろよオイ、あんたが実の父親だよ、とうちゃんだよ。

パーソナリティ 今井通子さんの言葉

子供をすんなりと手放してくれないお祖父ちゃん、お祖母ちゃんに、
少しイライラするところもあるのでしょ?
だったら、高中先生の仰るように、まず法的手続きをしっかりすること。
そのためには、「この子を育てたい」という確固たる情熱を見せること。
できますか? 大丈夫?

「お互い大変だったな、父ちゃん」と云って貰える日まで

筆者が思うに
30歳台後半で家庭を持ち、僅か1年そこそこでこの結果。
心の病の恐ろしさを垣間見る。
生まれて来た子供も確かに不憫だが、
それに加えて自分自身の人生も、一体何故こんなことになってしまったか。
冷静に考え、判断を下すには今暫くの時が必要ではなかったか。
その意味でも、この電話相談は正解だった。
高中弁護士の、誠にごもっともなお説教が聞けたことで、
この男性が眼を覚ましたとすれば、これは貢献度の高い相談だった。
しかし私はこの相談者を、「無責任」呼ばわりすることは出来ない。
男手一つで子供を育てるのは、想像を絶する「難行・苦行」であろう。
自分はともかく、「子供の幸せ」という観点から躊躇する気持ちも解る。
これからこの幼子と一緒に、その苦行に取り組んでゆく。
今この相談者は「拝一刀」の心境ではないだろうか。


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