怒りは他人を欺かない、偽りの笑顔が欺くのだ

【相談者】48歳女性 夫53歳 結婚25年 子供無し

1ヵ月前、73歳で亡くなった実家の母との関係について。
母の死を知らされても、まったく悲しくなかった。
私と母は、もう長年に渡って口も利かないほど険悪な仲であった。
父は健在だが、母の葬儀には「来るに及ばず」と云われた。
後に「形見分け」として、母の高価なバッグが送られて来たが、
私はそのバッグを見て、母に対する怒りがこみ上げて来た。
私が子供の頃から父と母は仲が悪く、母は少し精神的に問題のある人で、
夫婦仲の悪さから来るストレスを、私をいじめることで晴らしていた。
私は容姿が父の方に似ていて、「醜い」というのが母の口癖だった。
「恋愛は美人だけに許される特権だ」と云って、私に恋愛を禁止した。
12歳から15~16歳頃にかけて、最もしつこくそれを云われ、
お陰で私は恋愛らしい恋愛をしたことが無く、主人とも見合い結婚だ。
彼女は、私が云うのも何だが、かなりの美形であり、恋愛結婚である。
一度私は訳あって、主人との離婚を考えたことがある。
それを実家に相談したら、
「離婚するのは勝手だが、こちらの生活水準を落としたくない」。
つまり「帰って来るな」という事だった。
彼女が守ろうとした「生活水準」とはこれのことか・・・。
と、送られてきたバッグを見て、そう思った。
私の内側を壊すようなこの怒りを、何とか出来ないものだろうか?

幼児教育研究 大原敬子先生の言葉

大原敬子先生

貴方はこの相談を始める際、メモか何かを読み上げていましたか?
そうであれば、貴方は大変真面目で几帳面な方だ。
亡くなった後ですら、八つ裂きにしてやりたいくらい、母親が憎い。
しかし貴方は、最後にその母親と会ったのは7年前で、15分程、
と、細かく記憶している。
その時あなたは離婚の相談に行った。
離婚という大事に際して、真っ先に駆け付けたのは母親の所です。
貴方は母親を憎みながらも、その母親に依存していますね。
こんなに憎いのに依存している自分が、自分で許せない。
そして、その美形のお母さんですが、かなり劣等感の強い人でしたね。
お父さんとの関係が悪くなり、その劣等感の反動形成で貴方を攻撃した。
貴方を「醜い」と罵ったのは、「美人の自分が愛されていない」ためだ。
結論を云うと、お母さんは貴方に「結婚生活」という資産を遺した。
お母さんが「帰って来るな」と云ったから、貴方は踏みとどまれた。
表面上どんなにいがみ合っていても、貴方はお母さんが好きなのだ。
「憎い、憎い」と云っていなければ、母の死を受け容れられない。
「母の愛とは、後になって気付くもの」で良いのではないでしょうか。
これからお母さんのお墓参りに行って下さい。
そしてお墓の前で、文句を云っても構いません。
「お墓参りに行ける」という家庭が、貴方にあるという事に気付いたとき、
お母さんが居なくなってしまった淋しさに、気付くでしょう。

怒りで表情を失った、生霊の声

筆者が思うに
まるで原稿でも読み上げているような声。
大原先生も指摘されたが、生気の無い「霊魂」が話しかけているようだ。
メモに眼を落しながらであったとしても・・・、である。
母親は亡くなってしまったが、この女性の言う事が事実とすれば、
「すんごい母親」である。
女としての劣等感を晴らすため、実の娘にそれを擦り付ける、とは。
自分の劣等生を、攻撃性に変えて、弱者に向ける。
典型的な「弱いものいじめ」である。
大原先生のお考えも解らぬではないが、筆者は少し違うように思う。
実の親から日常的に精神的虐待を受けるというのは、想像以上に辛い。
もし相談者がまだ幼児であったなら、その怒りは抑圧行動で始末しただろう。
しかし、もう思春期の年齢ではそう簡単に行くまい。
そのために、この女性は「内面を傷つけるほどの怒り」に甘んじなければならなかった。
「自分は親にすら愛されなかった」のではなく「親に子供を愛する能力が無かった」。
「私は神様に愛されている」と思えば救われる。
これが加藤先生の回答になるだろうと予想する。
変な言い方だが、傷付けられたのが思春期で良かった。
もし幼児期であったなら、「内なる怒り」によって大きく歪められ、
「偽りの微笑み」によって更に別の他人を傷つけていただろう。

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