貼り付かない、掃き出されない老後

【相談者】71歳男性 妻65歳(共に年金生活)子供3人独立

古文書を収集するのが趣味である。
地方都市へ出向いて、その土地の古文書を研究したいと思っていたが、
妻がそのような事は良くないと、反対している。
2年間限定で、月に1回は帰宅するという条件で、
出来れば家族も連れて行きたいと提案したのだが、
妻は1ヵ月帰宅しない事が不安である事や、家事や犬の散歩が出来なくなる等、
また私が毎日朝食を作っているので、その点などが気になるらしい。
義母はもう80歳を過ぎ、デイサービスを受けているが、
そのような状況で私独りが地方へ行ってしまうのは非常識なのか?
私自身も、このような行動が出来るのも、気力がある今の内だけだと思う。
世間一般の意見として、アドバイスを受けたい。

精神科医 高橋龍太郎先生の言葉

高橋龍太郎先生

老後の夫婦の在り方としては、典型的だと思う。
一般的なケースとして、御主人は地方へ行って農業をしたいとか、
サラリーマン時代に出来なかったことをやりたがる。
一方奥さんは、地元でのコミュニティも完成しているのに、
それらを根こそぎ捨てて、65歳過ぎてから地方へなど行きたがらない。
だから、普通は別居するんです。
但し、家に戻るのが月1回ではあんまりだ、普通は週末には家に帰る。
それにしても、最近珍しいと思うのは、奥さんが反対している事。
多くの場合、「あー清々した、どーぞ行ってらっしゃい」、となる。
その点貴方は家事もちゃんとやるし、アテにされる良いお父さんだ。
でも、せっかくだからその地方へ行って、古文書の勉強して来なさいよ。
半日もかけて、懸命に帰宅するならともかく、
高速バスで2~3時間なら、週に1回は戻ってこれるでしょ?
普通なら「濡れ落ち葉」扱いだが、貴方方御夫婦はモデルケースだよ。

パーソナリティ 今井通子さんの言葉

今井通子さん

出掛けるに際しては、奥さんと良く話し合って。
また出来れば近くにいる息子さんやお孫さんなどに、行来して貰うとか、
とりわけ、朝食を作る貴方が居なくなることが、奥さんは痛いのだろう。
ですからその辺も、息子さん御夫婦に少し気にかけて貰うなど、
アフターケアを出来る限りしてあげて下さい。

老いてなお 乾き落ち葉の ひとり旅

筆者が思うに
古文書が御趣味とは、お人柄が伺える。
現役時代、休日にはパチンコや競馬しかすることの無かった人とは違う。
ゴルフなども若いうちだけで、定年後は一緒にラウンドする仲間もいない。
「趣味」とは名ばかりで、単に世の趨勢に乗っかって安心していただけ。
そんな人がサラリーマンの大多数を占めるのではないかと思うが、
他人はどうあれ、自分の生き方に自信を持っていた人はやはり違うのか。
戸籍法が施行される以前は、出生の記録などは特に書式の定めも無く、
巻物に毛筆でしたためられていたらしい。
それが古文書なのだが、人の生き死にに関する記録の中では、
墓石に刻まれる「墓誌」以外、手掛かりとなるものは古文書以外存在しない。
ミミズがのたくったような筆の跡を辿るのは、一見難しそうに見えるが、
一定の法則があるらしく、それさえ会得すれば自由に読めるらしい。
それを学べば、自分や家族のルーツを遡ることが出来る。
多分2年後は、その「追跡調査」で奥さんと揉めるのではなかろうか?
当分「濡れ落ち葉」とは言わせまい。

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